杉は学名でCryptomeria japonica(日本の隠れた財産)と言われています。
杉の本来の能力
杉の寿命は人間より遥かに長く、一般的には500年、世界自然遺産に指定されている屋久島では2000年を超える杉も何本も存在しています。
その長い寿命を保つため杉の精油に「フィトンフィッチ」という防衛本能というべきものが含まれています。
例えば自身を害虫の攻撃から守る事や、適正な湿度を保ち病気の繁殖を抑える事、不快な臭いを打ち消す事などです。
木も自身にとって快適な空間を作りたいのです。
やはり生きているのだと実感できます。
その杉に備わっている能力は、木材として人間の生活に活用をしたときにも、永続的に発揮される事になります。
ただし、正しく理解して活用をした時にのみ発揮されるものです。
エシカルの杉材は低温乾燥の国産材のみ
木を木材として利用するときには、乾燥を行う必要があります。
それは、木の中に沢山の水分が含まれたままに建材や家具などに利用すると、大きく狂いが生じてしまうからです。
加えて腐敗の原因にもなりなります。
大量生産を重視した高温乾燥を行うと、精油(エッセンシャルオイル)が失われてしまいます。
精油はそれだけで高級なアロマとなるようなもの。それを搾り取ってしまった木材から潤いが失われてしまうのは想像に難くありません。
エシカルでは、特別な低温乾燥機「愛工房」を用いています。
それにより、木の成分を失わせずに乾燥を行う事ができます。
例えば海外から輸入をする木材の場合、大量の防腐剤を染み込ませます。
当然ながら、本来の木材とは全く変質したものになってしまいます。
杉の持つ調湿作用や消臭作用を活かそうと考えれば、杉材が呼吸を止めないように考える必要があります。
大量生産時代に向いていなかった杉
杉のように材としての魅力があり、例えば古来の京都の宝物庫である正倉院では宝を納める箱にも使われていたものですが、現代日本において有効活用されなかったのは、ひとえに生産性の問題です。
杉は非常に乾燥が難しいとされる木材です。さらには、柔らかい木材と言われています。
大量生産においては、木材に傷が付きやすい事それ自体がマイナス要素であったと思います。
杉にも赤身、黒芯という非常に固い部分があるのですが、杉の能力を活かしたままでは非常に乾燥が難しくなります。
正しい工程を行えれば極上の材料に変わる黒芯ですが、大量生産時代には向いていないとされて、不要な部分と見做されていた状況もありました。
人間生活に向いている杉材
実際に人間の生活に活用をした時には、どうでしょうか?
時には杉の柔らかさは身体を守ってくれるクッションになります。
人間が傷つくのではなく杉が人間を守ってくれるのです。
杉は熱の移動が非常に緩やかな木材です。
コンクリートの12分の1。アルミよりも100分1より小さい数字になります。
杉の床に寝そべっても快適さと適度な柔らかさを感じますが、コンクリートの床に寝そべると明らかに熱が奪われていく感覚に陥ると思います。
熱を保つ事は人間の健康に非常に大きな影響を与えます。小動物を使ったテストでは、コンクリートの床では、ほとんどが木の床の10分の1の時間も生きられませんでした。
熱の移動が緩やかという事は断熱効果も得られるという事です。
暖房や冷房で調整した部屋の気温も保たれれるという事。それは光熱費という視点でみても優しく、大量にエネルギーを使用しないという視点でも優しいものです。
杉の本来の魅力を活用することで、杉は財宝になるのです。